第54章

紬は神崎雅志に高く抱き上げられ、視界がぐんと開けていた。高い場所は、よく見える。

ちょうど儀式台の上では、おじさんおばさんたちが会場を整えている最中で、数人が巨大な儀式用のオブジェを持ち上げ、東側へ少しだけずらしていた。

紬が首を傾げる。

「雅志おじさん、おじさんたち、なんでオブジェを動かすの? あの大きいオブジェが端っこに行ったら、なんか気持ち悪い」

神崎雅志も目をやる。確かに、オブジェがずれたせいで司会台の左右がちぐはぐになり、見た目の釣り合いが崩れていた。

神崎雅志は傍らの秘書に低く告げる。

「向こうに伝えて。オブジェを正しい位置に戻せ」

「かしこまりました」

秘書はす...

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